「電動キックボード」を運転中に衝突・転倒した場合、頭部にはどれくらいの衝撃があるのだろうかーー。
日本自動車連盟(JAF)が7月14日、こんな実験結果を公表した。
電動キックボードを巡っては、7月1日から交通ルールが一部緩和され、街中でも運転する人の姿をたびたび見かけるようになった。
一方、飲酒運転による事故も報道されており、一層の交通ルール徹底が求められている。
今回の実験では、ヘルメット着用の有無が生死を分ける現実が浮かび上がった。
Contents
酒を飲んで運転相次ぐ
政府インターネットテレビの動画「乗るのはルールを知ってから!」によると、電動キックボードはこれまで、いわゆる「原付バイク」と呼ばれる「原動機付自転車」と同じ扱いだった。
道路交通法改正により、7月1日から16歳以上は免許不要、ヘルメットは努力義務になるなど、ルールが一部緩和された。
もちろん、交通ルールを守らずに違反をすれば、これまでの原付と同じように罰則が適用される。
飲酒運転や2人乗り、スマホを見ながらなどの「ながら走行」は禁止だ。
一方、新しい交通ルールとなった7月以降、都内で大学生が酒を飲んで運転し、タクシーに追突したり、大阪市で電動キックボードとトラックが出会い頭に衝突したりする事故が発生している。
縁石に衝突してこけた場合は?
JAFは今回、街中で遭遇しそうな交通場面を再現し、走行速度やヘルメットの有無によって、衝突・転倒時の危険度がどう変化するのか実験した。
まず、ダミー人形を乗せた電動キックボードを時速20キロでけん引し、高さ10センチの縁石に衝突させたケースだ。
危険度は、頭部損傷値(HIC値)で計測。「Head Injury Criterion」の略で、値が1000を超えると脳傷害の可能性があり、3000を超えると非常に高い確率で重篤な傷害が発生する。
その結果、ヘルメット着用時は1231.8、非着用時は7766.2となり、非着用時は着用時に比べ、重篤な頭部損傷・死亡するリスクが高いことがわかった。
車に衝突した場合は?
次に、ダミー人形を乗せた電動キックボードを時速20キロでけん引し、静止している自動車に衝突させた。
ヘルメット着用時、車に当たった「一次衝突」のHIC値は19.7、当たった反動で地面に叩きつけられた「二次衝突」は147.9と、いずれも1000を下回った。