今月4~7日に実施した最新の世論調査によれば、内閣支持率は前月比4.2ポイント減の26.6%。3カ月連続で下落し、とうとう5カ月ぶりに「危険水域」とされる2割台に転落した。
自民党の支持率も21.1%まで下がり、政党支持率との合計は47.7%。政党支持率と内閣支持率を足した数字が50%を切ると「政権が持たない」とされる「青木の法則」に基づけば、政権は崩壊寸前だ。
11日から夏休みに入った岸田首相は、日米韓首脳会談のために米国へ出発する17日まで、首相官邸などで過ごす。
読売新聞朝刊(10日付)によれば、来月11~13日に内閣改造・党役員人事を行う方向だという。人事構想を巡らす夏休みになりそうだが、問題は、内閣改造が支持率回復につながるのかどうかだ。
「内閣改造は政権浮揚策の常套手段ですが、今回は“目玉”が見当たらない。小渕優子組織運動本部長が官房長官などの要職に抜擢されるとの話も出ていますが、『政治とカネ』でミソを付けたイメージは拭えません。抜擢したところでヒンシュクを買う逆効果もあり得ます。知名度のある石破茂元幹事長の入閣も取りざたされていますが、多少のサプライズ感は演出できても、支持率の急上昇にはつながらないでしょう」(自民党関係者)
頼みの外交もパッとしない。岸田首相は来月4~7日に東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議、9~10日にインドで開かれるG20サミットに出席する見通しだが、目新しい成果は期待できない。
■“ウルトラC”は廃止延期法案の丸のみ
内閣改造も外交も不発となると、“切り札”として残っているのは来秋に予定されている保険証廃止の延期だ。
「岸田首相は4日の会見で資格確認書の期限延長を打ち出しましたが、支持率は下げ止まる気配がありません。つまり、『国民の不安』はまったく解消されていない。岸田首相は廃止延期に含みを持たせています。与党側からも延期論が出ていることを踏まえれば、野党が秋の臨時国会に提出しようとしている廃止延期法案に乗れないこともないでしょう。保険証廃止の不安を払拭しない限り、他に支持率が上がるような要因はないし、来秋には総裁選が控えています。岸田首相が廃止延期法案を丸のみする“ウルトラC”もあり得ます」(永田町関係者)
安倍政権では安保法制や森友・加計学園問題によって支持率が急落したが、保守の岩盤支持層が支えていた。岩盤支持のいない岸田政権は、いつまで持つか。